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恐怖!! 「黒死病」がやってきた!(1)

 ヨーロッパの中世史を語るに当たって、避けて通ることの出来ない「病気」があります。

 
それは「黒死病」。

 現代では、ペスト (Pest) として知られるこの病気により、14世紀のヨーロッパでは全人口の3分の1以上、約2,500万人がわずか2年余りの間に命を失いました。
恐ろしい「黒死病」

 1347年のことです。
当時、タタール人(モンゴル人)は西へとその領域を拡大していました。
 当時、クリミア半島にあり、黒海に面した港町カッファは、イタリアの海運国ジェノバの支配下にあり、この町もタタール人の大軍勢に包囲されていたのです。
黒海は東方貿易の中心地


 防衛軍も奮戦しましたが、強力なタタールの軍勢には押され気味。陥落も必至と思えたその最中に事件は起こりました。あの、強力なタタール軍が包囲を解いて、撤退を始めたのです。

なぜでしょうか?
答えは、すぐに明らかになりました。

 タタール軍は、撤退の間際に黒いアザだらけの死体を投石機でカッファの街に投げ込みました。この死体こそが、タタール撤退の原因。そう、ペストの大流行だったのです。(*1)

 勝利に沸くカッファの街にも、悲劇はすぐに訪れます。
市内にペストが蔓延し、人々がバタバタと倒れ始めたのです。そして、不幸なことに…この街を脱出したジェノバ兵たちが、寄港地でもこの病気を広めたためにヨーロッパ全土にペストが大流行しました。
「人類史における最も残忍な、そして人口統計学上の大惨事」は、こうして始まったのです。(*2)

 さて、「ペスト」とはどのような病気でしょうか。
 ペストは、ネズミ(とくにクマネズミ)などの齧歯類がかかる病気です。そして、ペストに感染したネズミの血を吸ったノミが、ペスト菌を媒介して人間にも感染します。

 ペスト菌が体内にはいると、リンパ腺が冒されます。そして、肝臓や脾臓に入り込んだ菌が毒素を分泌するため、意識の混濁・高熱が続き、1週間程度で死に至ります。致死率は、なんと5~7割。
これが、「腺ペスト」と呼ばれる病型です。

 もう一つ、感染した患者の咳や血痰によって、ペスト菌に感染するものもありました。これが「肺ペスト」と呼ばれるもので、この場合、致死率は100%ちかく2,3日で死亡します。

 ペスト菌が血液によって全身にまわると、皮膚のあちこちに出血斑ができて、全身が黒いあざだらけになって死亡する。このペスト敗血症から「黒死病」の名称が生まれました。

 では、なぜヨーロッパでこれほど大々的にペストが広まったのでしょうか。
 まず一つめは、食糧事情
ヨーロッパでは度重なる不作のため、食糧事情が悪化していました。そのため、栄養失調になっていた人々が、病気に抵抗できなくて感染してしまったというわけ。

 もう一つは、衛生環境が悪かったこと
ペストの感染経路がネズミやノミであるというのに、街路は下水同然。
なにせ、トイレの汚物なんかは窓から外に投げていた時代ですから、「病気になってください」というようなものです。
ましてや、フィレンツェでは「ペストの原因は、犬や猫である!」なんてデマが流れて、片っ端から殺してしまう始末。何度も言うけど、「ネズミが原因なのに、その天敵殺してどうするん」という事態になってしまいました。

 それに宗教の問題も。
 煉獄信仰真っ盛りな中世。
病気の大流行も、神様から下された罰とみなしてあきらめの傾向が蔓延。
 その上、ローマ教皇は1350年を聖年と宣言します。
その期間、「ローマに巡礼すれば、煉獄を通らずに直接天国に入れる」と約束された、幾十万もの巡礼者が旅先でペストを広めてもゆくのでした。

(後半に続く)


***脚注***

*1:病死した死体を投げ込むのは、籠城戦でよく用いられた戦法でした。
病原菌の存在は、まだ知られていませんでしたが、「病気が移る」ということから、ある種の生物・細菌兵器のようにして用いられていたようです。

*2:他にも、「中央アジアから輸入された毛皮についていた、ノミが感染の原因」という説もあります。
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Comment

2006.01.15 Sun 03:49  |  恐ろしいですね。。。

 今回のコラムも大変興味深く拝読しています。
 鳥インフルエンザの流行が危惧されてる今、他人事とはおもえないです。。。
 後半も楽しみにしています。

  • #-
  • アンナ
  • URL

2006.01.16 Mon 21:36  |  アンナさん>

うん。
ペストも、終息したと思われた後に何度も復活して、そのたびに多くの人の命を奪いました。
つい10年前くらいにも、インドで大流行したというし。

医学が進歩してもなかなか病気はなくなりませんね。

  • #-
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