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『ベロニカ・フランコ』

ラグーザ広場からおりまして、徒歩一分。
そこに、彼女 ベロニカ・フランコの邸宅はあります。
詩人としても名高かった彼女の人生は、後世に映画となるほど数奇に彩られたものでした。
ベロニカ・フランコとはいったいどのような人だったのでしょうか。今日はそんなお話。

映画をよく見られる方になかには、1998年に公開された「娼婦ベロニカ」という映画を、ごらんになられた方もいらっしゃいますでしょうか。この映画は、今日取り上げるベロニカ・フランコ(Veronica Franco)の半生を描いた映画です。 なお、時代は16世紀・・・ヴェネツィアに日の陰が落ち始めた時代です。(原作はマーガレット・ローゼンタールの"The Honest Courtesan【本物の高級娼婦】"から)

さて、この作品の名前の通り彼女は高級娼婦でした。
同時に彼女は、明晰な頭脳と見識を持つ学者、そして詩人でもあったのです。
では、なぜ彼女はコルティジャーナ(高級娼婦)の道を歩むことになったのでしょうか。

その点についてお話するには、このコルティジャーナという職業についてもう少し詳しくお話しする必要があるでしょう。

まずはじめにこの時代、女性に求められていたのは貞淑な妻であること、子供を産んで立派に育て上げることだけでした。また、結婚の際には持参金を花嫁の家側が用意する必要があったのです。そのため、高額な持参金が払えない人は結婚もできず尼僧院にでも入るくらいしかなかったのです。

コルティジャーナという言葉、もともとの意味は「宮廷女性」。つまり宮廷のサロンにいる人たちのことを指していました。
もちろん、きれいなだけでは駄目。
重要だったのはお客と教養ある会話ができるか(顧客が国家元首だったり有志であったわけですから、その内容も政治・経済、古典文学・歴史、社会情勢など多岐にわたっていた)、パーティなどに同伴されても貴婦人の振るまいができるかだったのです。

なお、余談ですがヴェネツィアにはこれの男性版もありましたね。
カヴァリエレ・セルヴェンテ(仕える騎士)という、若い貴族の子弟が貴婦人たちのエスコートを行っていたようです。遊び相手やお供をつとめた彼らは、夫人が寝室に入るのを待って退出しました。もちろん、その約束がどこまで守られたのかはわかりませんが(w

映画の中では、ヴェロニカはヴェネツィア貴族のマルコ・ヴェニエ(Marco Venier)と恋に落ちます。しかし、ヴェニエ家は名門中の名門。ヴェロニカの家は持参金を払えるだけの財産も地位もありませんでした。

こうして、彼女は教養あふれる一人の女性から、コルティジャーナの道へと歩み始めるのでした。

そして、ヴェネツイアに未曾有の危機が・・・
トルコ艦隊の侵攻、そしてそれに伴うキリスト教国艦隊の結成・・・そして、レパントの海戦。

国の危機、その後の彼女自身の危機
映画の後半部分については、ここで述べることはいたしません。ぜひビデオなどでご覧ください。
個人的には、映画故のドラマスティックな場面を差し引いても、当時の世相・風俗が色濃く反映されていておもしろいと思いますよ。

最後になりますが、彼女は自宅を宗教裁判の被害にあった人たちのために開放していたそうです。もしかすると、ゲームに出てくる彼女は、ラグーザの街から世間の移ろう様をじっと見つめているのかもしれませんね。
ぜひ、ラグーザにお立ち寄りの際は、宗教異物の報告がてら彼女の家を訪ねてみるのはいかがでしょう・・・
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