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「箱船」探索の旅 (3)

 さて、聖書物語の中にある『ノアの大洪水』のおはなし。じつは、このおはなしの"原作"じゃないか、とある人々が考えるのが、今日紹介する『ギルガメシュ叙事詩』なのだ。

 この叙事詩(英雄の生涯を誌の形式で綴ったもの、サーガ)は、古代メソポタミア文明、シュメール・ウルク第1王朝の英雄王ギルガメシュの生涯を謡ったものである。
 年寄り扱い(笑)するわけじゃないんだが、昭和生まれの人だと、学校の歴史の時間に『世界四大文明』という言葉を習ったんじゃないだろうか。

 別名『四大河文明』とも呼ばれるが、その名の通り大河の近く、チグリス・ユーフラテス河沿いの『メソポタミア文明』、ナイル川流域に栄えた『エジプト文明』、インドのインダス川に生まれた『インダス文明』、そして黄河下流の中原に栄えた『黄河文明』が、世界の文明の源流だという考え方のことである。

 この『メソポタミア文明』で中心的な役割を果たしたのが、ギルガメシュに代表されるシュメール人だったのだ。ギルガメシュは西暦前2600年頃、都市国家ウルクを支配していた王様ではないかと考えられている。

 さて、この『世界四大文明説』なのだが、現在の考古学の世界では「過去の遺産」として扱われている。

 では、「古代に文明というのは幾つくらいあったのだろう」という質問が出てくるよね。
実は、これが人によってまちまちなのである。「4つしか文明が生まれなかったのはおかしいじゃないか」というところは同じなのだが、「文明の定義ってなんだよ」というところで、意見が分かれてしまうのである。ちなみに、歴史家A・J・トゥインビー先生(※1)によると「古代文明は少なくとも26はあった」とされている。

 とはいえ日本では、「頭の固い先生」たちが教科書を作ってくださっているので、ごく最近まで四大文明説は"事実"として教えられていたようだが。

 1840年代、アッシリア帝国(※2)の首都であったニネヴァの発掘調査が行われた。なんとこの発掘で、楔形文字が書き込まれた粘土板2万5千357枚が発見されたのである。後に『アッシュールバニパルの図書館(※3)』と呼ばれることになる、大書庫の発見だったのである。ちなみに現在では、シュメールの楔形文字の解読はほぼ終了したことが公表されており、さらにはUnicodeまであるのだ。

 発掘された粘土板は、大英博物館に送られ解読作業が進められた。
大英博物館の研究員ジョージ・スミスは、この粘土板の中にとんでもない文章を発見する。12枚の一連の粘土板、その11枚目の一文だ。

「シュリッパークの人々、神々の子らよ!
家を壊せ! 舟を造れ!  物を捨てよ! 命を救え!
生き物を携え、舟に乗り込め!」


 聖書以外で初めて「大洪水」に関する記述が発見されたのだった。この、西暦前7世紀のものと考えられている粘土板が、『ギルガメッシュ叙事詩』である。
(後に、シュメール人の都市ニップールで、西暦前21~18世紀頃のものと考えられている『シュメール語版 ギルガメッシュ叙事詩』が発見され、これが世界最古のものと考えられている。)

 じゃ、この『ギルガメッシュ叙事詩』のあらすじをご紹介することにしましょう。
 ウルクという街を支配していたのは、ギルガメッシュという王様だった。彼は、ウルクの王様ルガルバンダ(人)と女神リマト・ニンスン(神)の間に生まれたため、3分の2は神、3分の1が人間という半神半人の存在だったという。

 父王の跡を継いだギルガメッシュは、多くの偉業を行った。
半神半人の彼は力も強く、戦士としても名高かった。それだけではない。
「ウルクに、彼は城壁、それも巨大な城壁を築いた。さらに彼は、天空の神アヌや性愛・戦争の神であるエアンナ(※4)のための神殿も建てた」のである。

 ところが、ギルガメシュにはとんでもない欠点があったのである。ウルクの民は、神々に訴えた。
「うちの王様は肉欲大魔王なんです! 国中のどんな処女も、臣下の妻も娘もヤツの毒牙にかかりました。このままでは、国中の女たちがすべて彼の愛人にされてしまいます。何とかしてください!!」

 神々たちは集まってギルガメッシュ対策を協議した。なんとかしてヤツの暴挙を止めねばならない。そう考えた神々は、ギルガメッシュに対抗できるライバルを作ろうと考える。彼の名はエンキドゥ。神々によって、対ギルガメッシュ戦用の特殊能力を与えられたエンキドゥは、純粋な力の面ではギルガメッシュよりもスペックは上だったのだ。

 「このままでは、余のハーレムの危機!」と考えたのかどうかは知らぬが、ギルガメッシュはエンキドゥをなんとか丸め込もうとする。いろいろと考えた末に、「女の手管」作戦を実行に移したのだ。具体的に言うと、娼婦を送ってエンキドゥをふぬけにしようと考えたのである。この作戦に、田舎から出てきたばかりのウブなエンキドゥはまんまと引っかかってしまった。一週間も娼婦と過ごしたエンキドゥはメロメロ、彼の力はギルガメッシュと同じほどに弱くなってしまったのである。ギルガメッシュは、「今こそ彼を倒すチャンス!」と考えて、エンキドゥに対決勝負を申し込む。

 いよいよ対決の時が来た!
ギルガメッシュとエンキドゥ、二人の超人が自分たちの持てる力すべてを使って取っ組み合いを行う。ところが、なかなか勝負がつかない。なにしろ、二人の力は互角だったのだから。
「なかなかやるじゃないか…」「…フッ。おまえこそな」
まるで少年マンガの展開のように、お互いを認め合った彼らは大親友になったのだ。こうして二人は一緒に冒険の旅に出かける。

 ところがだ…もともとエンキドゥは、ギルガメッシュを倒すという目的のために作られた超人。それがこともあろうに、ギルガメッシュの親友になってしまったのである。怒った神々はエンキドゥを殺してしまった。

 大親友、いや自分を理解してくれていた唯一の友達を失ったギルガメッシュはがっくりと落ち込む。そして、気づいたのだ。「自分も、いつかはエンキドゥのように死んでしまうのではないか…」
死ぬのが怖くなったギルガメッシュは、遠い地に住んでいるというウトナピシュティム(バビロニア版では、優れた賢者という意味のアトラハシス)という人を訪ねることにしようと思い立つ。このウトナピシュティム、実はかつて起きた大洪水の生き残りであり、それ故に神々のような永遠の命を持っていたのである。彼に会えば不老不死になれる秘訣を聞き出せるかもしれない。

 その後もいろいろなエピソードがあるのだが、そこはさっくり割愛。
 ウトナピシュティムに会うことが出来たギルガメッシュは、彼から大洪水の時の話(※5)を聞かされる。昔から、「馬の小便と年寄りの話は長い」というが、ウトナピシュティムの爺さまの話も非常に長くて、この叙事詩の書き板まるまる1枚(洪水書字版)使うほど長い。結局分かったのは、ある薬草を食べれば不老不死になれるということだった。

 で、今度はその薬草を手に入れるための冒険が始まるのだが、せっかく手に入れた薬草をギルガメッシュは口にすることが出来なかった。なんと、蛇に食べられてしまったからである。(だから蛇は脱皮するのです、というおはなしにつながるのだ!)不老不死を得られずにガックリと気落ちしたギルガメッシュは生まれ故郷のウルクに帰り、傷心のまま死んじゃった。

おしまい


※1:アーノルド・J・トゥインビー先生(1889-1975)
 歴史学において、文明論を語らせたら右に出るものがいないほどの大先生。Jr.が入っているのは、高名な福祉・経済学者の叔父さんが同姓同名なので区別するために。英国生まれでオックスを卒業し、そのあとギリシャでチャリンコ乗って遺跡巡りをしまくった。ちなみに全25巻の「歴史の研究」は名著。(もちろん全巻持ってます。)
 残念なことに、晩年は「アジア大好き! アジアすげぇ!!」熱が高まりすぎて、東洋神秘学などに目ざめてしまい、「庶民の王者」こと某池■■作氏とその一党の宣伝看板に使われてしまっているのが悲しいところである。
 個人的感想ですが、「我々は歴史のまっただ中に生活しているのだ」という言葉を初めて読んだときには、頭を殴られたくらいの衝撃を受けました。

※2:アッシリア帝国
 現在のイラクのあたりにあった世界帝国。超軍事大国国家で、メソポタミア地方をその強大な武力で席巻した。現在のシリアの国名の由来となった国。
 被支配下の国では、大規模な移住政策と、見せしめもかねての残酷さで知られていた。首チョンパした敵の捕虜の首を宴会場に飾ったり、ゲームに使ったりした壁画も残っている…。

※3:アッシュールバニパル(Ashurbanipal)
 紀元前7世紀頃、新アッシリア王国の王様。
 非常にインテリな王様であったらしく、「オレ、いろんな言語読めるんだぜ。割り算もかけ算も出来るんだぜ。 スゲェだろ!!」っていう自慢いっぱいの碑文も残しちゃったりしてる。
 そんなこともあって、書物コレクターだったアッシュール(略)王様は、領地各地から書物(もっともこの時代は粘土板であるが)を集めまくった。そのうち、字が書いてあれば何でもよくなったのか、臣下のプライベートな手紙やら、はては契約書、請求書までこの図書館に納めることになる。マァ、そのおかげで後代の我々が、当時の生活をかいま見ることが出来る貴重な資料となったのであるが、きっと当時の臣下たちは「また王様の道楽かよ。ウゼェなぁ…」とでも思ってたんじゃなかろうかw
 もっとも、アッシリアが被占領下の各地から文献を集めた主な理由は、占領国で信奉されていた神々や悪霊たちが自分たちに害を及ぼさないようにする「呪い返し」の意味が強かったと考えられている。

※4:エアンナ
 メソポタミア地方の神様たちは、ギリシャとローマのように同じ神様がそれぞれの国によって呼び名が違うということが多々あった。シュメールの女神エアンナは、アッシリアではイシュタルと呼ばれている。
 ちなみにこの女神様は娼婦の神様でもあり、逆らうとインポテンツにしてしまうという恐ろしい神様でもあったらしい…

※5:大洪水のおはなし
 バビロニア版では、大洪水の発生した理由についてこんなおはなしがある。
 嵐と風の神だったエンリルは、最近不眠で悩んでいた。理由は、人間が増えてきてやかましくなってきたためである。ぶち切れたエンリルは他の神々に相談した。で、神々は少しばかし人間の数を減らそうじゃないか、という結論に達する。で、6年ばかし大飢饉を起こしたのだが、騒音が減るどころか、かえって前よりもやかましくなってしまったのだ。
寝不足でキレやすくなっていたエンリル、「おしOK! 全員ぶち殺そうぜ!」っていうことで、『大洪水おこして人類皆殺し作戦』を決行すると神々に伝えた。ところが、神々の一人エアは、人類のうちお気に入りだったアトラハシスにその計画について知らせてしまったという。

 で、シュメール版では神々のいさかいの様子が面白いのだ。
エンリルによる『人類皆殺し計画』は、上位の神々の間だけの最高機密となっていた。ところが、世界の創造者でもあり知識の神でもあったエア(エンキ)は、自分が手塩にかけて育てた人類が滅びるのは忍びないと考え、可愛がっていたウトナピシュティムにこの計画を漏らしてしまう。とはいえ、自分が漏らしたことがばれても困るので、ウトナピシュティムには「誰にもばれないようにコソッと作れよ」と命じていたのだが。
 さて、いよいよ大洪水が起きた。人類だけでなく、最高機密に預かれないほど上位クラスでない神々も突然の大雨に驚き、高い山に命からがら避難する。さらに、人類が洪水によって息絶えていったため、神様たちへの犠牲を捧げる人々もいなくなり、神々は空きっ腹を抱えることになる。こうしたこともあって、"人類抹殺派"と"反対派"の神々の間に、微妙な空気が流れ出したのだ。
 しばらくして大洪水が終わったとき、エンリルはなぜかウトナピシュティムが生き残っていることに気がついて愕然とした。「誰だよ!! 人間に情報を流したヤツは!!」激怒したエンリルは、神々の評議会に訴え出るが、空きっ腹をすかせた神々の間にはこの事態を引き起こしたエンリルへの不信感が高まっていたのである。
 その時、ウトナピシュティムは神々へ犠牲を捧げはじめた。久方ぶりの犠牲にあずかることができた神々は「肉に群がる蝿のように」大喜び。"抹殺反対派"の女神イシュタルは、エンリルに向かって非難の声を上げる。「だいたい誰のせいでこんなことになったとおもってるのじゃ! 文句あるなら、おまえ二度と捧げ物喰うな!!」
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Comment

2007.10.19 Fri 10:54  |  

本日に訪問させていただきました。
はじめましてっ.+(´^ω^`)+.
実は、ブログの内容が大好きですがこれから、頑張りましょう o(^0^)o  
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  • mugen
  • URL

2007.10.21 Sun 21:09  |  

またヘンな書き込みが…w

ところでギルガメッシュ大ハーレムウラヤマシス(;゚∀゚)=3尊敬しちゃう!今日から崇めよう!!!

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