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欲に目がくらんだ王様のはなし(中)

 以前のイオについてのおはなしを書いたときに、ヘンリー・リーマン先生から「私の読んだのでは、イオ助からんかった><」というコメントをいただきました(遅くなりましたのでこちらで感謝を!)
まぁ、「ギリシャ神話」は別名「ギリシャ悲劇」といわれるくらい、後味の悪い作品も結構あったりします。実は神話や物語ですから、登場人物や結末にいろいろなバージョンがあったりもするんですね。
 
ということで今日は、始めにそこら辺りについてのおはなしをば。
 今回のおはなしを書くに当たって参考にさせていただいたのは、19世紀アメリカのトマス・ブルフィンチという人が書いた"The Age of Fable(伝承の時代)"という本です。

このトマス・ブルフィンチという人も面白い人でして、お父さんは有名な建築家(アメリカの議事堂『キャピタル・ヒル』を造った人)で、自身はというと銀行員をやりながら作家活動を行っていたという興味深い経歴をお持ちの方でした。
で、この人の作品はといえばアーサー王の伝説やギリシャ・ローマのおはなしにゾロアスター神話、シャルルマーニュ大帝についてだったり、旧約聖書についてとかについてだったりします。実はこういったおはなしってのは、ヨーロッパの文学の基礎になってる物語なんですね。逆に言えばヨーロッパ文学のほとんどは、こういうのを知ってる読者に向けて書かれているわけですから、これが分からないと本を読んでもさっぱり分からないし面白くないという結果に。
(例を挙げますと、少し前に通称「マルセイユ在住ハゲの暗号」という作品がブームを引き起こしましたが、あの作品も背景をしらなければ面白さが(あるかどうかは私的には微妙ですが)半減すると思いました。普通の日本人(特にクリスチャン以外)は、前準備なしにあの話を読んでも本当に理解できるのかなぁ、と心配になったものです。)

 話がそれてしまいましたが、このブルフィンチという人の作品は、そういったヨーロッパ文学の基礎の部分にあまり馴染みのない当時のアメリカ人の入門書という形で書かれたものであります。原書を見ても文章も分かり易いし、たとえ話もついていたりするしね。そういう経緯もあってブルフィンチさん、比較的ハッピーエンドな説を取り上げてまとめたのではないかと私は思うわけだw

 じつはこの本、岩波書店から訳本が出ていますが、なんと訳者に野上 弥生子(「女性である前に人間であれ」は名言)、その上夏目漱石が序文を贈っているという豪華作品でもあったりします。当時のアメリカ人と同じく、あまり神話やヨーロッパの民間伝承に馴染みのない日本人にとってもなかなか親切設計な作品ではないかと思います。(聖闘志星矢でギリシャ神話を勉強するよりはきっとイイと思いますよw)

 前置きが長くなってしまいましたが、今日もミダス王のおはなしスタート!!

 ディオニッソスから「何でも願いを叶えてあげよう。とりあえず言ってみな」と言われたミダス王。ウンウンとウナって考え出したお願いはいったい何だったのか?
そんな2回目。
「では、私に一つの能力を与えてください!」とミダス王は願い出ます。
「して、その能力とは如何に?」
「なんでも自分の手に触れたものを黄金に転ずる力、を与えていただきたいのです。」

 ディオニッソスも驚きました。
「そんな力が本当に欲しいのかね?」と、再び尋ねます。
「はい。富や名声を今この場で頂いたとしても、それはいつの日にかなくなってしまうでしょう。しかし、これからも富を生み出し続ける力が得られたならば、私と私の国の繁栄は約束されると思ったからです」とミダス王は答えました。

「ふぅむ…」
ディオニッソスは内心、『それは、また厄介な能力を求めるヤツだなぁ…』と思います。しかし、その能力を求めたのはミダス王自身。
『困るのは自分じゃないしな。まぁいいか』と考えたディオニッソスは、彼の願いを叶えてあげることにします。
「よかろう、汝の願いを叶えることにしよう。」
その言葉を聞いて、ミダス王が喜んだのは言うまでもありません。

 さて、ディオニッソスの館から帰る途中、ミダス王はこの能力を早く試してみたくて仕方がありませんでした。
そこで、近くにあった森の木の枝に触れてみることにします。するとどうでしょう。ミダス王に手折られた木の枝はそのままの姿で、たちどころに黄金に転じたのです。
喜んだミダス王は、次に足下の石を取り上げました。するとその石もたちどころに黄金の塊になったのです。芝土も林檎もオリーブの実も、彼が手を触れるだけで全て黄金に転じます。
確かにディオニッソスはミダス王の願いを叶えてくれたのでした。
 ところが王宮に帰ってきて、家族や家臣たちにこの能力を見せびらかしていたミダス王ですが、しばらくして大変なことに気がつきます。

 それはディオニッソスが『厄介な能力』と看過した理由だったのですが、皆さんはそれがなにか分かりましたか?

 では、この正解は次回のお話しということで。
(続く)
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Comment

2006.09.27 Wed 09:09  |  

今何気に見てたんですが、、、
あの本、最安値が35円ってwwwwww
ほら、買いですよ 奥さんっ!

あと「聖闘士星矢」でしたな。誤字発見

  • #-
  • Lucrezia Rosso(管理人)
  • URL

2006.09.27 Wed 11:03  |  こちらでははじめまして

先日は書き込みいただきましてありがとうございます!
今回も興味深く読ませていただいております。
「厄介な力」…確かに私もちょっと厄介かなあ…と思いましたね。
特に家族持ちの私としては…。

私の想像は合っているかなあ?
次回も楽しみにしております!

2006.09.28 Thu 00:57  |  

このブルフィンチの本も実は持ってるんですが、、読む暇が無くて山積みになったままなんですw
今読んでる本読み終わって、ローマ人の物語の文庫最新刊読み終わったら次あたりに読んでみることにします。

  • #aYpzl2JE
  • ヘンリー・リーマン
  • URL
  • Edit

2006.09.28 Thu 15:37  |  お返事

くれはさん>
こちらこそいらっしゃいませ~
どうだろう? ミダス王の失敗はもしかするとくれはさんが考えてるほど格好良くないかもw
正解をお楽しみに(ぇ

ヘンリーさん>
おーそうでしたか、おもちでしたか。
忙しいとなかなか読めずにたまっていきますよね。
私は活字中毒なので本を貯めることはできない(笑)のですが、よくレンタルしてきたDVDを見ずに返すことはよくあります。うわーーんっ!!

  • #-
  • Lucrezia Rosso(管理人)
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